成年後見 ワンポイントアドバイス 第3号 発行
「成年後見 ワンポイントアドバイス」の第三号が出来ました。
千代田区 で 後見人 の方や、これから後見人になるということで準備されている方など、
是非お目通し頂ければと思います。
今回は・・・
6/28に行われました「初心者!後見人講座」のワンポイントQ&A
好評!「成年後見のきほんのき」
そして、「後見人をつけても もう選挙権を失わない!」成年後見トピックスになります。
「後見人をつけても もう選挙権を失わない!」から、私、成年後見センターの佐藤の感想を少々。
ある後見人をつける女性の方を、以前担当させて頂きました。
「選挙権が無くなってしまう」そのことに、とても立腹され丁寧に説明をさせて頂きましたが、
選挙権が当たり前にある時代の自分には、気持ちを一緒にするのには、
少し時間がかかりました。
私たち日本の。
特に女性の選挙権が認められたのは、1945年(昭和20)年の選挙法改正でのこと。
そしてようやく女性にも選挙権が与えられたのは、
1946年(昭和21年)に男女平等の普通選挙のときでした。
安易に考えていた訳ではありませんが。
選挙権の大切さや選挙の重みを若き頃に、大変実感された世代の方にとっては、
「選挙権は失いたくないものなのだ」ということを、深く理解したことがありました。
今後は、そのような喪失してしまう気持ちを感じずに、ご本人の権利や財産を守っていけることは、
諸所課題は残されてはいますが、成年後見にかかわる仕事をする人間として、
1つ喜ばしいことであると感じています。
後見人をつけても もう選挙権を失わない!
今年3月、成年後見人がついた知的障がいの女性が、選挙権の回復を求めて国を訴えた裁判がありました。
新聞やニュースで大きく報道されたのでみなさんも気になったのではないでしょうか。
その後5月に公職選挙法が改正され7月の参院選から実際に投票ができるようになりました。
同時に選挙の公正な実施を確保するため、努力義務規定も設けられました。
最高裁によると選挙権を回復した制度利用者は全国で13万6000人にのぼるといいます。
これまでの成年後見制度では、成年後見人がついた場合、
①医師や税理士等の資格や会社役員・公務員などの地位を失う(=その職務ができる状態にないとみなされる)
②実印が無効になる(=実印を使うような契約能力はないとみなされる)の他
③選挙権を失ってしまっていました(※「後見」類型の場合)
「後見人がつく状態では、政策を理解し議員を選ぶ能力もないだろう」という理由なのですが、
書類手続きやお金のことはわからなくても、昔から選挙に関心が高く、
後見人がついてからも参加を希望している人はたくさんいらっしゃいます。
また、ちよだ成年後見センターに申立ての相談にみえる方の中には
「選挙権がなくなるなら成年後見制度を利用しない」という方もいましたので、
今回の制度改正は、投票がしたくてもできなかった方々にとってとても大きな出来事であったと思います。
一方で、この選挙権回復には、万が一不正な誘導で判断能力のない人の票が
利用されてしまうことなどないよう不正防止対策のさらなる検討も必要と思われます。
今回の選挙権回復を機に、後見人の資格制限や地位の剥奪など、
「権利を守るはずの制度によって逆に権利を侵害してしまうのはおかしい!」という意見があり、
今後もこのような議論がされていくものと思います。
~制度を利用することになったら その1~
★かかりつけ医に「診断書」の記入をお願いする
申立てに必要な書類のひとつ「診断書」。
家庭裁判所の所定の書式(3枚つづり)を持って、
かかりつけ医に書いてもらえるかの相談をします。
かかりつけ医はたとえば皮膚科でも整形外科でも、医師であれば診療科は問いません。
以前からかかっている医師がいるようなら、本人の以前からの変化をわかってくれているので最適です。
かかりつけ医がない場合は、認知症・知的障がい・精神障がいの専門である精神科に
新たにかかることをお勧めしていますが、中には本人が通院を拒む場合もあると思います。
その際は通院がしやすい診療科(内科など)に相談する方法や、訪問診療を手配する方法などがあります。
ただし実際には医師の専門によって制度への理解に差がある場合もありますので、
診断書の取得のことでなにかお困りになったら、お気軽にちよだ成年後見センターまでご相談ください。
~成年後見人をつけた方がいいのかわからない~
前号で、成年後見制度を使うきっかけとして一番多いのは「銀行手続き」である
ことをお伝えしましたが、成年後見人の仕事はお金を管理するだけではありません。
施設入所や入院手続きの他、
「利用している福祉サービスが本人の生活状況・希望と合っているか」普段からよく本人の様子を見て、
必要なサービスを手配することが成年後見人の重要な役目です(身上監護といいます)。
こんな場面で、本人が手続きの内容や自分自身がどうしたいのかよくわかっていないようなら、
本来成年後見人をつける必要があります。
「必要な制度だとは思うけれど、うちはまだ切羽詰まっていないし、利用した方がよいのか迷っている」
というお悩みが多く寄せられます。実際、家族のサポートで成年後見人をつけなくても、
本人の希望どおりの生活を送らせてあげられる場合もあります。
利用のポイントは、「本人の意思が尊重されているか(家族だけの都合になっていないか?)」です。
センターでは制度を利用した方が適切かどうかのご相談にも応じています。